配分額 *注記 |
12,020千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 720千円)
2007年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2006年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
近年、精神疾患に対する再生医療が望まれており、そのために神経変性および再生医療の効果判定指標を明らかにする必要がある。本研究では、まず偏側神経破壊パーキンソン病モデルラットを用い、発症過程にみられる脳内ドーパミン神経機能変化をPET製剤投与により解析した。線条体のD2レセプターおよびドーパミン動態は急性期から変化し、これらは行動薬理試験や免疫染色の結果とも相関しており、発症過程の先行指標になり得ると考えられた(Neurosci. Lett., 389: 30-34, 2005)。加えて、再生医療の効果判定を目的として、同パーキンソン病モデルラットの破壊側線条体に胎仔中脳を移植した移植モデルを作成し、神経機能回復過程における内因性因子の経時的変化を評価した。その結果、胎仔脳移植群では、発現が低下した転写制御因子FosとZif268の濃度が回復することが明らかとなった(Synapse, 62: 920-926, 2008)。 一方、SPECTへの応用を計画し、我々が開発した新規放射性ヨウ素標識アミノ酸を用いて同様に評価した結果、特にドーパ脱炭酸酵素活性では急性期より低下する傾向が認められ、早期診断への応用が期待された。また、核医学画像診断薬は、速やかに尿中排泄されるものが望ましい。既に、上記標識アミノ酸の尿排泄に有機酸輸送系(OAT)など複数の輸送蛋白が関与していることを確認し(Nucl. Med. Biol., 30: 31-37, 2003)、腎尿細管輸送機構を明らかにした(Ann. Nucl. Med., 18: 227-234, 263-270, 2004)。今回、Fanconi症候群モデルマウスの腎尿細管輸送特性を解析し、アミノ酸再吸収機能の特異的評価法を確立した(Ann. Nucl. Med., 20: 175-181, 2006)。さらに、腎尿細管分泌に関与するOATの一過性阻害により、標的組織移行性を向上させ得ることを示した(Nucl. Med. Biol., 34: 1003-1008, 2007)。 以上より、処置後早期より変化する神経機能を検出し得たことから、これらを先行指標としたパーキンソン病あるいは再生医療効果判定の早期画像診断の可能性が示唆された。
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