研究分担者 |
寺嶋 廣美 九州大学, 医学部, 教授 (40140917)
今田 肇 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50223326)
平木 嘉幸 鹿児島大学, 医学部, 講師 (90264423)
寒川 光治 関西医科大学, 医学部, 講師 (10154684)
今井 正浩 関西医科大学, 医学部, 講師 (40268339)
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研究概要 |
放射線治療に対する応答には個体差が存在し、照射量やスケジュールが同一でも個々の症例で治療効果は明らかに異なるので、治療効率を向上させるためには腫瘍の放射線治療に対する感受性を予測する必要がある。我々は従来から放射線治療を施行した子宮頸癌症例の抗腫瘍効果に関与する遺伝子の予後予測因子を検討してきた。cDNAマイクロアレイによるゲノム解析では放射線感受性に関与する遺伝子群としてALDHI、 RBP1、 XRCC5、 HLA-DQAI、 uPA、 CD44、 HIF1A、 CA12、 CTSL、 CTSB、p63、 BIK、 TEGT、 SSI-3遺伝子などを抽出した(Int J of Radiat Oncol Biol Phys.60:237-248,2004.Neoplasia 4:295-303,2002)。これらの遺伝子群からDNA2本鎖切断修復機能関連遺伝子(XRCC5)、アポトーシス関連遺伝子(BIK, TEGT, SSI-3),低酸素誘導遺伝子(HIFIA, CAI2),腫瘍の浸潤や転移関連遺伝子(CTSL, CTSB, PLAU, CD44)等の相互関係や機能解析を行い、治療効果予測因子システムを構築し、新規の組織でシステムの感度や特異性を検証することを目的とした。今回、これらの遺伝子群と、文献的に放射線感受性について報告されている既知の機能を有する遺伝子群に焦点をあて、効果予測モデルの確立に向けて、動的変化・相互関係の把握と検証を行った。すなわち、抽出された遺伝子群に順位相関解析を行い、効果予測に重要な遺伝子群を選択した。次に、抽出した個々の遺伝子について治療効果良好群と不良群の2群に分けて、Real-time PCR法を用いて生死をエンドポイントとした単変量解析・多変量解析で再現性を確認した。また、臨床検体を用いて遠隔転移に関与する遺伝子群についてゲノム解析を行い、遺伝子不安定性に関与するTTK/hMpsl遺伝子を抽出した。個々の癌に最良の治療法を提供するオーダーメイド医療のための放射線治療効果予測システムの確立を目指した。
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