配分額 *注記 |
16,740千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 1,140千円)
2007年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2006年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2005年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
本研究は肝上皮性幹様細胞をクローン化し、そのモノクローナル抗体を作成し、肝再生過程におけるこの細胞の役割を明らかにすることを目的にしている。また、本紳胞に対し増殖因子やサイトカインを投与して補助肝臓として利用可能な機能肝細胞塊を作成することを目指している。クローン化では96穴wellに播種した1個の細胞からクローン細胞の増殖に成功した。次いで、この細胞を兎耳静脈に3回に分けて投与しその3週間後に血清を採取し凝集価により抗体産生をみたがこの細胞特有の抗体は認められなかった。未分化細胞のマーカーの検索ではCD45R.(Anti-Lineage marker)(+++),CD117(Anti-c-kit)(Receptor of stem cell factor)(-),CD34(low/-),CD90(Anti-Thy1)(+/low)で、本細胞が全くの未分化な細胞ではなくある程度分化した細胞であることを示していた。しかし、c-Met(+++)とCD117(Anti-c-kit)(-)の組み合わせは胎児肝における幹細胞のマーカーとされており(谷口英樹 実験医学25(5):812-817,2008)、本細胞がその特徴を備えていることは本細胞が肝幹細胞の一つの候補といえるものと考えられる。また、Flk-1(Anti-VEGF R)(+++),c-Met(Anti-HGF R)(+++),Bek(Anti FGF R)(+++),Anti-EGF R(++)で増殖因子に影響されやすいことを推測させた。これらに共通していることは培養初期に強発現し、細胞がconfluentになり増殖が停止すると発現が消失することであった。しかし、TGFβ1,TGFβ2はM期の細胞に特化して強発現し、GI,G2,S期には発現が消失し上記の諸因子とは別な機序で発現することが推測された。VEGF添加による細い糸状構造の形成、HGF添加による大きな網状構造の形成が認められたが、肝実質細胞への分化は認められなかった。EGFやFGFの添加では形態の変化は認められなかったが増殖能、生存能が増強された。本研究では本細胞が増殖能、多分化能、長期生存能を持つ体性幹細胞であることを明らかにし、肝障害時に肝再生に重要な役割を発揮する可能性を示すことが出来た。
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