研究課題
基盤研究(B)
今回の計画の基礎となる「進行食道癌患者に対するNY-ESO-1蛋白を用いたワクチン療法第一相臨床試験」に参加した13症例の解析では、重篤な副作用は見られなかった。臨床反応を見るとともに、ワクチン投与前後におけるNY-ESO-1特異的抗体反応、CD4/CD8T細胞反応を解析したところ、主腫瘍やそのほかの腫瘍に何らかの縮小効果の見られた症例は4症例存在し、これら症例すべてで抗体価の上昇がワクチン早期より確認され、同時にCD4T細胞反応が検出できた。さらに、CD8T細胞反応も検出された。すべての患者において、CD4およびCD8T細胞の反応性を示す部位をNY-ESO-1総蛋白より重複する連続ペプチドを作成することにより解析すると、抗体反応部位も含めてNY-ESO-1蛋白の中央部約70個のアミノ酸配列部に、高度免疫反応惹起部位が存在することが明らかとなった。180個のアミノ酸からなるNY-ESO-1総蛋白を作成する際に、100個以下であればE.Coliを用いなくともペプチド合成器にて作成可能であるため、現在「食道癌術後補助療法としてのNY-ESO-1総蛋白を用いた癌免疫療法」に向けては、上記高度免疫反応惹起部位によるCHP併用ワクチンとすることとした。進行食道癌術前化学療法後根治術施行症例中、切除標本中の転移リンパ節数が4個以上の症例を対照とし、現在すでに60例においてNY-ESO-1発現の有無にて無再発生存率を比較した。これら症例に対してワクチン投与を行い、この無再発生存率の改善を目指す。実際には、この対照無再発生存曲線と、ワクチン症例の無再発生存曲線とを比較することとなる。また、臨床試験を遂行しながら、ワクチンを投与しない症例を対照群に加えていくこととなる。また、蛋白より重複する連続ペプチドによるワクチン投与も別に計画している。先行した「進行食道癌患者に対するNY-ESO-1蛋白を用いたワクチン療法第一相臨床試験」のデータを下に、安定した供給を得るために、ワクチン方法について改正を繰り返している。NY-ESO-総蛋白よりも高度免疫反応惹起部位である一部分の蛋白で十分であることが判った。また、投与対照群の確定も進めている。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (10件)
Int J Cancer. 120(10)
ページ: 2178-2184
Cancer Immunity 7
ページ: 9-19
International Journal of Cancer (In Press)
細胞 38(14)
ページ: 5-8
Surgery Frontier 3(13)
ページ: 35-39
日本医事新報 第4304号
ページ: 57-59
The cell 38(14)
Sugery Frontier 3(13)
ページ: 35-9
Nihon Iji Shinpou 4304