研究課題
基盤研究(B)
進行肝癌の新規治療開発について、以下の5点についての検討を施行した。1.IFNARの発現調節機構の解明IFNAR遺伝子の解明について、臨床検体でのmethylationとその発現強度の関係の検討を目的として、methylation-spacific-PCRを用いて解析し、methylationが機序の一つであるという結果を得た。2.IFNARを介した5-FUの抗腫瘍効果増強作用の解明5FUのDNA損傷作用へのIFN-αの作用について、肝癌細胞株を用いて解析した。その結果、肝癌細胞株のほとんどにおいて、IFN-αのTS阻害率に対する作用が確認された。3.death ligand(TRAILやFasLなど)を介した抗腫瘍効果の増強機構の解明Fas-FasLを介したIFN-alphaによる宿主の免疫賦活作用と5-FUとの相互作用、特にapoptosis増強作用については、肝癌細胞株のなかでFasLを発現した株でのみ関与することが判明した。4.抗血管新生作用に関する検討IFNの抗血管新生効果に関しては、腫瘍内における血管新生関連因子(TSP、Ang-1、Ang-2、VEGF、Tie2、HIF1-α)のmRNAレベル及び蛋白レベル(免疫組織染色、ELISA法)での評価においては、Ang-2の発現と抗腫瘍効果との関与が明らかになった。5.進行肝癌症例における上記の基礎的検討とIFN併用化学療法の臨床効果との関係cDNAmicroarrayを用いた網羅的遺伝子解析(トランスクリプトーム解析)により、in-vivoモデルでの腫瘍検体をもちいて本療法の効果予測に関する遺伝子群についての解析を施行した。その結果、効果予測に関する候補遺伝子を確認した。以上の結果により、機序解明から効果増強、網羅的遺伝子解析から効果予測が可能である。今後の検討により、基礎的検討結果を臨床応用できると考えている。
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