研究概要 |
1.XIAPに対するsiRNA,shRNAの導入とノックダウンについての検討.siRNA,shRNAを作成し、前立腺癌培養株DU145腎細胞癌培養株Caki-1でtransientなノックダウンと、shRNAによる,XIAP低発現株を得た. 2.前立腺癌(DU145)での検討.(1)XIAIPノックダウンと抗癌剤感受性の検討.transientの系ではXIAP発現の低下とともにCDDPへの感受性の増強が認められたが,stableクローンではwild typteとは逆に抵抗性となっており,抗アポトーシス分子BCL-2とNFκ-Bの発現が増強していた。(2)BCL-2機能抑制分子(HA14-1)による抵抗性の解除.BCL-2機能抑制分子(HA14-1)をにより、その抵抗性がcanncelされた。 3.腎細胞癌(Caki-1)での検討.(1)正常腎,腎細胞癌でのSmac,XIAP発現の検討.正常腎ではSmac,XIAPとも尿細管細胞で発現していた.腎細胞癌34例ではsmacは正常腎よりも低発現で,XIAPは高異型度,高進達度で発現が増強していた.6種の腎癌細胞株を用いて検討したところ,XIAPはCaki-1で高発現,smacはKRC/Yで高発現であった.(2)XIAP低発現Caki-1でのHA14-1,smac類似合成XIAP抑制ペプチド(Smac-Ant)効果の検討。Caki-1XIAP低発現株でHA14-1の抗増殖効果を検討したところ,有意に高かったが,わずかな差であった.抗Fas抗体に対する感受性を検討すると,HA14-1との併用で相加効果が得られた.さらに,Smac-AntとCDDPの併用は極めて高い増殖抑制効果を示した. 4.前立腺癌,腎細胞癌においてはXIAPがアポトーシス刺激に対する抵抗性に主要な役割を果しているが,shRNAによるXIAPの抑制だけでは不十分であり,効果的な治療法の開発にはHA14-1によるBCL-2の抑制やSmac-AntによるさらなるXIAPの抑制が必要となると考えられた.
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