研究課題/領域番号 |
17390438
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
川上 享弘 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90346023)
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研究分担者 |
岡本 圭生 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50303780)
岡田 裕作 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127062)
成田 充弘 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00263046)
上仁 数義 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90324590)
牛田 博 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80418756)
坂野 祐司 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00346016)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
16,750千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 1,350千円)
2007年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2006年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2005年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 腎細胞癌 / DLK1 / 癌抑制遺伝子 / インプリンティング |
研究概要 |
【目的】腎細胞癌において、第14番染色体長腕(14q)は第3番染色体短腕(3p)に次いで頻度の高い染色体欠失部位であり、同領域に癌抑制遺伝子が存在する可能性が指摘されてきたが未だ明らかになっていない。今回われわれは14q32に存在する刷り込み遺伝子(imprinting gene)であるDLK1(Delta like homolog)に着目し、腎細胞癌における抗腫瘍効果と遺伝子不活化をきたすメカニズムについて検討した。 【方法】腎癌由来細胞株15株、腎癌手術切除標本50例からRNA、DNAを抽出した。RT-PCR法によるDLK1発現の検討、14qLOH解析、Bisulfite genomic sequencing(BGS)法を用いたメチル化の検討を行った。また、DLK1遺伝子を導入した腎癌細胞株(ACHN、Cakil、SW839、RCC10RGB)を用いcell growth assay、anoikis assay、in vivo tumorformation assayを行った。 【結果】DLK1は腎癌細胞株で93%(14/15)、腎癌組織78%(39/50)で発現が消失していた。Growth assayではSW839に細胞増殖抑制効果を認め、浮遊条件下では全てのDLK1導入細胞株でanoikis誘導能を認めた。またnude mouse背部に移植されたDLK1導入腎癌細胞による腫瘍形成能はcontrol群と比較して著しく乏しかった。DLK1のDMR(Differentially Methylated Region)はDLK1遺伝子領域ではなくその下流にあるGTL2の5'領域に存在した。腎細胞癌においてDMRはメチル化状態で、DMRの異常メチル化獲得がDLK1不活化の原因であると考えられた。 【考察】今回の検討によりDLK1は腎細胞癌の新規癌抑制遺伝子であることが証明された。腎細胞癌におけるDLK1/GTL2とWilms腫瘍におけるIGF2/H19はnon-coding RNAの5'領域のDMRが異常メチル化を獲得するという共通点がある一方、その結果腎細胞癌ではDLK1が不活化され、Wilms腫瘍ではIGF2が過剰発現するという遺伝子発現の相違点があることが明らかになった。今後、DLK1のDMRがDLK1/GTL2の刷り込み制御において果たす生物学的役割については更なる検討が必要であると考えられた。
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