配分額 *注記 |
10,640千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 540千円)
2007年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2005年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
|
研究概要 |
口腔癌の骨浸潤能は,浸潤先端部で骨微小環境の影響をうけていると考えられる。臨床応用が可能な骨微小環境を再現した癌の骨浸潤能評価モデルの開発を目的に研究を行った。 1)臨床材料の検討:歯肉癌患者の生検の組織学的浸潤能とX線骨吸収型との間に相関はなく,手術材料の骨浸潤様式とX線骨吸収型との関連,破骨細胞数の増減でも有意な相関はなかった。浸潤型骨吸収を示す標本で,TGF-β,TGF-βRが有意に上昇した。 2)in vivo, in vitro骨浸潤評価モデルの検討:in vivoでは癌細胞をマウス大腿骨骨髄腔に注入し作製した。In vitroでは非コラーゲン性骨基質蛋白(IGFII, TGF-β, IGFI, PDGF, bFGF)を添加した骨基質培養シャーレに,各種癌細胞を培養し,骨吸収関連因子(PTHrP, OPG, RANKL, RANK, IL-1α,IL-6, PGE_2, TNF-α, VEGF, CTGF)の発現を定量RT-PCRで測定した。その結果、in vivoで骨浸潤を示す細胞において骨吸収因子の発現上昇,OPGの発現低下傾向を認めたが細胞間のばらつきがあった。in vitro骨微小環境で培養したin vivoでの骨浸潤を示す細胞の培養上清は破骨細胞形成を有意に促進した。 3)臨床的材料の骨吸収マーカー候補因子の検討 TGF-βに着目しヌードマウス傍骨膜骨破壊モデルで,TβRI-Iの効果を検討した。HSC-2により虫喰い状の骨破壊を認めたが、TβRI-Iにより骨浸潤は抑制された。TGF-β添加のHSC-2の培養上清は破骨細胞形成を促進し、骨吸収因子TNF-α, CCN2, RANKL mRNAを有意に上昇させたが,TβRI-Iで抑制された。以上より、骨微小環境を再現したin vitro骨浸潤評価モデルの有用性を示すと同時に、TGF-βとその受容体のシグナル伝達が有用なマーカーになる可能性が示唆された.
|