研究課題
基盤研究(B)
Runx1は骨形成のマスター遺伝子であるCbfa1/Runx2と同じRunxファミリーに属し、急性白血病の原因遺伝子として知られている。このRunx1 mRNAは二次口蓋が形成される過程において、癒合直前の口蓋突起の癒合予定部位の上皮に、特異的にその発現が増大し、癒合後、この上皮の消失とともに、その発現が上皮から間葉に移動する。そこで本研究はRunx1が口蓋の形成に果たす役割を検討することを目標とした。血液特異的なGata1プロモーター特異的にレスキューを行ったRunx1ノックアウトマウスにおける口蓋裂の発生を検討したところ、このマウスは、一次口蓋と二次口蓋の間に口蓋裂を発症することを見出した。癒合予定部における上皮の表面性状をSEMで観察したところ、野生型マウスの癒合予定部の上皮は突起状に形状変化を示すのに対して、Gata1-Runx1/Runx1 KOマウスではそのような変化が生じないことを見出した。野生型マウスの突起状の形態をしめす上皮をTEMで観察したところ、細胞質はライソゾームで占められていた。これらの結果から、Runx1は口蓋上皮が癒合する際に生じる細胞内消化に関与し、上皮の癒合に重要な役割を果たすことが示された。さらにRunx1の発現を制御する分子を検討したところ、癒合上皮直下の間葉でFgf18が発現することを見出した。また、器官培養系にて、Fgf18タンパクは上顎突起の上皮においてRunx1を異所性に誘導することを見出した。このことから、一次口蓋と二次口蓋の癒合は上皮間葉相互作用によって制御されており、間葉のFgf18が上皮Runx1を誘導することで、上皮が癒合することが示唆された。
すべて 2007 その他
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Differentiation 75(5)
ページ: 452-62
Differentiation. In press