研究課題/領域番号 |
17402030
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
樋口 直人 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (00314831)
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研究分担者 |
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (40302335)
丹野 清人 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90347253)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
11,750千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 1,350千円)
2008年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2007年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2006年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 在日外国人 / 労働力移動 / 外国人労働者 / トランスナショナリズム / 世帯戦略 / ラテンアメリカ / 移住システム / 移住労働者 / 帰還移民 / エスニシティ / 国際社会学 / 出稼ぎ / 国際労働力移動 / 移民ネットワーク / 移住過程 |
研究概要 |
研究期間全体を通じて、予備調査28件、本調査337件の聞き取りを行った。研究期間終了ぎりぎりまでデータ収集をしたため、データの計量的な解析は今後の課題となるが、それに先立ち質的なデータをもとにいくつかの試論的な論考を刊行し、アルゼンチンからのデカセギの特質をめぐる21の仮説群を提示した。さらに、現時点で重要と思われる論点と暫定的な知見は以下のようにまとめられる。(1) これまでさほど重視されてこなかったが、日系世代による滞日経験の差は大きい。これは、日本語能力のような文化的要因のみによるのではなく、世代によりアルゼンチンでの職業が異なることにもよっている。全体に、二世や三世よりも一世のほうが、デカセギがもたらす便益は大きい。(2) 事実上、家族内の誰でもデカセギできる条件が存在するため、家族内でとりうるデカセギ形態には多くのバリエーションがある。これを、デカセギのもたらすリスクとベネフィットの観点、および経路依存的に家族戦略が規定されるという観点から分析する必要がある。(3) アルゼンチン人の集住地域として、神奈川県の鶴見と湘南台、愛知県の碧南がある。人口規模が大きいブラジル人に比して、アルゼンチン人のコミュニティは小規模であり、アルゼンチンからのデカセギの全体像を描くような記述が可能である。鶴見、湘南台、碧南といった地区は、アルゼンチン人コミュニティの形成と変容に関していわば細密画を描く拠点となる。(4)日本での職業移動のあり方を決定するのは、学歴やアルゼンチンでの職歴よりも、日本語能力によるところが大きい。その意味で、2008年秋の米国金融危機以降に生じた日系人の大量解雇に必要な対策として、短期間の雇用機会創出よりもむしろ、日本語の読み書きも含めて日本語力を高め、職業移動を可能にすることであることが示唆される。
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