研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
田近 英一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70251410)
後藤 和久 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10376543)
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 准教授 (50272943)
豊田 和弘 北海道大学, 地球環境科学研究科, 准教授 (10207649)
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配分額 *注記 |
14,880千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 1,380千円)
2007年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
本研究では,白亜紀/第三紀境界での天体衝突地点からの距離や水深差に応じた津波の規模と持続期間の変化を高解像度で復元するため,衝突地点極近傍(キューバ・フォメント地域やメキシコ・ラヒーヤ地域,およびクレーター内外掘削コア)のK/T境界層の調査を行った.その結果,キューバ西部で見られたように,衝突クレーターへの海流入を示す痕跡が,フォメント地域のK/T境界層やクレーター内外掘削コアでも観察された.これは,衝突に伴う津波が,衝突クレーターへの海水流入・流出によって発生したことを裏付けるものである. また,衝突前後約数十万年間の長期的な地球表層環境擾乱の様式・規模・持続期間を数千年スケールの解像度で明するため,キューバ中部やメキシコ,ニュージーランドのK/T境界上下層を調べた.その結果,高等植物ワックスに由来するn-アルカンの組成31/(29+31)比とδ^<13>C_<wax>の値が,K/T境界直上で大きく減少することが明らかになった.さらに,31/(29+31)比とδ^<13>C_<wax>の関係を調べたところ,その分布領域が時代毎に異なっており,特に暁新世初頭の試料に,正の相関が見られた.このことから,K/T境界における炭素循環擾乱とそれに伴う環境変化を陸上植物が記録していたことが示唆された.また,メキシコ・ラヒーヤ地域での調査により,K/T境界後7万年間の陸域環境の変遷を,衝突地点の東側と西側で詳細に対比できるようになった.さらに,ニュージーランドで調査を行い,キューバ・メキシコでは地層の欠如により回収できなかった,K/T境界直上のイリジウムを含む粘土層の採取にも成功した.本研究により,南半球のニュージーランドと衝突地点近傍のキューバ・メキシコのK/T境界堆積物が初めて対比されたことで,K/T境界後の古陸域環境解析を10万年以下の解像度かつ地球規模で行うための基盤が構築された.
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