研究課題/領域番号 |
17404008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
水工水理学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
浅枝 隆 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 教授 (40134332)
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研究分担者 |
藤野 毅 埼玉大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (70282431)
MANATUNGE J. 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (50334157)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2006年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2005年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | シャジクモ / Myall Lake / 栄養塩 / 骸泥 / 炭酸カルシウム / 浅い湖沼 / 安定同位体比 / 湖沼生態系 / 車軸藻 / 湖沼 / 水質 / 骸泥層 / リン除去 / マイオール湖 / 沈水植物 / イバラモ / 富栄養化対策 / マクロファイト / 汽水湖 / オーストラリア |
研究概要 |
シャジクモは湖底を覆い、湖沼の水質に対して極めて大きな効果を発揮する。しかし、これまで水質との関連での研究が少なかったために、欧州と水質の異なるわが国における効果については必ずしも十分な知見が得られていない。しかも、近年、シャジクモは急激に消滅してきており、わが国の湖沼でこうした影響を調べることは困難になってきている。本研究課題では、オーストラリアNSW州のシャジクモで覆われたMyall湖において、シャジクモの生態を調査し、また、水質に与える影響を評価した。 研究では、Myall湖において、シャジクモ、水および骸泥をサンプリングして、シャジクモの幾何形状やバイオマスを測定すると同時に、基本的な水質特性や物理的条件に関する現地測定、骸泥および水質分析を行なった。その結果、以下のようなことが明らかになった。 1)シャジクモは湖底を覆うことで土壌の撹乱を防止する。また、シャジクモが分解して生成される骸泥は粘性に富み、流れ等の撹乱に対しても極めて安定である。こうしたことから、シャジクモ群落が形成された土壌からの栄養塩回帰は極めて限られる。 2)シャジクモが枯死して生成される骸泥は極めて柔らかく、鉛直にのびる植物を固定するには不向きである。そのため、骸泥が厚く堆積した環境では他の沈水植物は進入しにくく多様性は減少する。 3)シャジクモは水中のカルシウム分を炭酸カルシウムに変え、その際に水中のリン酸を捕捉する。こうした効果は、比較的カルシウム分の少ないわが国の湖沼においても期待できる。 4)骸泥の粒径は極めて細かく透水性は低い。そのために、極度に貧酸素化しやすく、間隙水のアンモニア濃度は高くなる。一方、間隙水中にリン酸濃度は低いことから、N/P比が極めて大きくなる。そのため、シャジクモの成長は極度なリン律速になりがちである。その結果、シャジクモが栄養塩を吸収する際に原子量の小さい窒素原子が選択的に分別される。そのため、シャジクモ体中の窒素の安定同位体比は極めて低くなる。
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