研究概要 |
いくつかの海外先進国では,各道路区間の機能に見合った合理的な道路幾何構造と交通運用の組み合わせを確保するために,きめ細かな配慮や工夫がなされている事例が少なくない.本研究は,日本において交通運用と一体となった道路幾何構造の設計手法を検討して行くために,それらが一部実運用されている海外数カ国において情報収集や観測調査を行ったものである.すなわち,(a)現地研究者・実務技術者へのヒアリングによる道路の計画設計手法の考え方に関する情報・資料収集,(b)道路幾何構造・交通運用の実態調査,および(c)利用者行動・車両挙動の実地観測等,計画設計手法と運用実態に関する情報,ならびに道路構造・交通実態データの収集を目的としたものである. まず,海外の大学研究者や行政機関でのヒアリングにより,本調査の対象とする道路構造・交通運用に関わるマニュアル,研究報告書,実務報告書等の資料を入手するとともに,それらの適用事例について実地視察を行うことにより実態を把握した.これより得られた情報を整理し,日本の道路構造令およびその他運用指針類との国際比較分析を行い,各国の設計・運用指針の特徴について考察を行った. 次に,幾何構造条件,交通条件,制御条件等の異なる信号交差点4箇所(ドイツ3,イギリス1),及びラウンドアバウト9箇所(ドイツ5,イギリス2,オーストラリア2)において,ビデオカメラ数台を用いた利用者挙動の観測調査を実施した.同時に,これらの全対象交差点の幾何構造データと,信号交差点については調査時間帯における信号制御データを収集した.ビデオ撮影により得られた画像データに画像処理を施すことによって,各対象交差点における交通条件に関するデータを集計するとともに,交差点流入部,および交差点内部における車両,歩行者,自転車等の利用者の挙動特性について,交差点構造や信号制御条件と関連付けながら解析を行った.
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