配分額 *注記 |
4,990千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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研究概要 |
3年間の研究により,現在のカリバチ相,ハナバチ相,アリ相,シロアリ相をかなり正確に把握することができた。今回4島から7科46種のカリバチが得られたが,これは1982年における62種の74.2%にすぎない。1982年ですでに平衡種数に達していたグループがあったが,今回は全てのグループで前回を下回った。ハナバチでは1982年に24種,今回23種とほとんど変化がなかった。これに対して,アリとシロアリでは1982年にくらべ顕著な増加がみられた。アリの場合,約100年間ほぼ同じ率で種数の増加が続いている(82年77種,今回95種)。シロアリでは,1996年の調査が不十分であった(9種)ため,それ以後の増加が急勾配となったが(今回は19種),100年間通してみると種数曲線はほぼ同じ傾きで推移している。カリバチやハナバチにはオープンな環境を生息地としている種が多いため,森林の発達によって生息地の面積が減少し,種数が頭打ちになったり減少したと思われる。一方,アリやシロアリには元来森林性の種が多く森林の発達にともない種数が増えることが予想されたが,予想通り依然として増え続けている。アリにおいては撹乱地性の種が姿を消し,森林性の種が新たに発見されたケース(植生遷移にともなう回転)が多く見られた。このように,分類群の性格により平衡種数に達する期間が異なることが実例で示された。クラカタウ諸島へのこれらの昆虫の移住様式については,シロアリで木材などのドリフトによるものが強く推定された。また,アリにおいても女王に翅がないハシリハリアリの1種の定住が確認されたことから,ドリフトによる移住があったことがわかった。材に営巣するジガバチモドキ類でも同様のことが示唆された。しかし,ハチやアリでは飛翔して移住してくる種が多数を占めるものと思われる。
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