配分額 *注記 |
14,320千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 1,320千円)
2007年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2006年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2005年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
カジカ上科魚類を中心とした標本採集を目的に3回の海外調査を実施したほか,採集した標本にもとづく精巣の比較形態学,生殖生理学および行動生態学的研究を行った。またこれらの成果報告の場として,国際シンポジウムと国際ワークショップの開催およびカジカ類の写真展を日本魚類学会と北大総合博物館で1か月あまり実施した。これらの研究成果は以下に要約される。 北米ピューゲットサウンド,アリューシャン列島,ロシア沿海州において実施した潜水による標本採集調査から,それぞれ43種,43種,53種のカジカ上科魚類ほかを採集した。それらには,3種の未記載種と3種の初記録種を採集した。 北米とアラスカで採集した11種を含むカジカ上科魚類の精巣構造と精子について組織学的手法による比較形態学的観察を行った。その結果,精巣の構造は精子形成様式や分泌能などに多型が見られ,精子も頭部の形状で大きく2つに分けられた。これらの多様性についてカジカ上科の繁殖様式との関連について検討され,いくつかの仮説が提出された。 受精能力を持たない異型精子を形成するカジカ上科魚類が数種知られ,ヨコスジカジカでは精子競争など社会行動において機能を有することも明らかになっている。そこで個体が正型精子と異型精子の形成をどのように制御しているかを明らかにする一環として異型精子の形成機序を組織培養法により調べた。その結果,正型精子と異型精子の二型分化は,セルトリ細胞が関与せず第1精母細胞以前の段階で生じることが示された。この結果は個々の生殖細胞は潜在的に二分化が可能であることを示す。
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