配分額 *注記 |
12,210千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 810千円)
2007年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
本研究では,熱帯雨林における試験造林の生態系修復評価を目的として,マレーシア・サラワク州のバカムおよびニア造林試験区およびその周辺の熱帯雨林の成熟林と二次林において,1.植裁木の成長と生残率,2.植裁木の生態生理,3.動物・植物の多様性と相互作用,4.遺伝的多様性,5.土壌の理化学性と微生物,6.地域住民の意識の調査をおこなった。その結果以下の成果を得た。 1.植栽木の成長と生残率から植栽環境を評価すると,二次林下植栽が最も適していると結論された。 2.植栽木の生態生理過程解析より,樹種ごとの環境順応過程や植栽適地が明らかにされた。 3.植栽後10年程度では,植栽が動物・植物の多様性と相互作用に与える影響は評価できなかった。 4.フタバガキ科数種について、サラワク州全域の遺伝的多様性とその地域的分化が明らかになった。 5.植栽木の生存・成長には,ニアでは土壌水分と光条件が,バカムでは光条件が影響を与えていた。 6.地域住民の意識として,焼畑適地の判断などが明らかになったが,生態系修復にたいする意識については明確な結論に至らなかった。 以上の成果より,熱帯雨林の生態系修復をめざした有効な植林方法として,伐採地あるいは焼畑放棄地を放置して二次林の形成を待ち,その林内に植栽する「二次林下植栽方法」が提案された。またその場合の植栽微環境による樹種選択に有用な情報を得ることができ,熱帯林修復技術開発に重要な知見を見いだした。しかし,植栽が動物・植物の多様性と相互作用に与える影響,住民の生態系修復に対する意識に関しては,今後さらに長期にわたる研究の継続を必要とする。
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