研究分担者 |
井上 京 北海道大学, 大学院農学研究院, 助教授 (30203235)
山本 忠男 北海道大学, 大学院農学研究院, 助手 (00312398)
長谷川 周一 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (10333634)
神谷 光彦 北海道工業大学, 工学部, 教授 (60001997)
中村 和正 (独)土木研究所, 寒地土木研究所, 上席研究員 (30414220)
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研究概要 |
本研究の目的は、寒冷乾燥地域の農業水利とそれに起因する環境問題の解決方法を提案することにある。平成17〜18年度の2カ年にわたり、中国新彊ウイグル自治区タリム河流城を調査対象として,環境問題,とくに塩類集積の発生要因とされている農業水利や土壌環境の実態把握を行なった。現地調査は、おもにタリム河中流域のシャヤ灌区で実施し、まず,新彊水利庁および現地のシャヤ県水利局において,流域の水土資源、灌区内の水収支や配水方法,用排水路の整備状況,塩類集積地の実態,作付け状況などの基礎データに関する資料収集やヒアリングを行った。 フィールド調査は,瀧区内の灌概ブロックにおける水収支を測定するため,水位計を数地点に設置した。さらに塩類集積の影響度が異なる画場を対象に各種の土壌調査と地下水位・土壌水分の連続計測を実施した。 以上の調査結果から,以下のとおりの地域環境の保全における問題点が明確となった。 ・水資源開発と農地開発が独立しているため,計画的な水供給がなされていない。 ・作物別の年間需要計画水量を満たしていても適切な時期に灌漑される保障はない。すなわち,供給主導型の灌漑であるため,計画的な灌漑は困難である。 ・塩類集積が問題となっている農地では,土壌の透水性が悪く,土壌水分も高い。さらに地下水位も比較的高く推移する傾向にある。 ・夏季の土壌塩類濃度は低いが,春季には高くなる傾向が確認され,これは冬期灌漑と土壌凍結の影響と推察された。 この2カ年において、日中共同研究の成果を共有するため札幌市とウルムチ市で計3回のワークショップを実施した。以上のように、現地調査および意見交換を通じて研究者間の交流が促進されたことから、今後の研究発展の基礎が構築された。
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