研究課題
基盤研究(B)
ソロモン諸島のガダルカナル島のTambokoとマライタ島のFiuをパイロット地区とした。Human bait(人囮法)により、採集されたハマダラ蚊の種は全てAnopheles farautiであった。ガダルカナル島においては乾期と雨期における人への吸血活動に大きな差は見られず、マライタ島では雨期に比べ乾期ではハマダラカの数が激減していた。経産蚊率の調査では午後11時以前は11〜50%(平均24.4%)と低かったのが、11時以降は62〜86%(平均79.5%)と高く、顕著な差が認められたのに対し、乾期では夕刻の7時以前の36.4%を除いて全体的に55%以上と高い傾向に有り、雨期における程時刻による顕著な差は見られなかった。Western地方における調査ではハマダラカ成虫は1匹も採集されなく、幼虫も発生源が非常に少なくマラリア感染率が非常に低い事の大きな原因と考えられ、この地方に置ける環境調査がマライア対策の有効な方法を見いだす大きな引き金となる可能性が高い事を示唆している。生態変異種の分子生物学的分類について遺伝子の塩基配列解析により、種としてはAnopheles farauti s. s.とAnopheles irenicusが存在し,後者はヒト囮法では採集されず、マラリアの媒介には関係ない事が判明した。また,これらの配列のパプア・ニューギニアの物との比較により、ソロモン海が遺伝子流動の大きな障壁になっている事が解った。幼虫対策法の開発に付いては超音波殺虫機の開発を検討した。平板タイプの発信子を用いた1200Wの出力の物では閉鎖水域においては90cmの距離において5秒の照射で100%、解放水域においても10秒の照射で50cmの距離では100%mの殺虫効果を示した。ココナッツオイルの殺虫作用に付いてフィールドでの実験を行った。1平方メーター当たり約100mlのココナツオイル処理2日後からハマダラカ幼虫は17日後まで見られなかった。
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