配分額 *注記 |
13,080千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 1,380千円)
2007年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2006年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2005年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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研究概要 |
多くの開発途上国において,産業の急速な発展と人口増加は化学物質による環境汚染をもたらしており,中でも水質汚染はもっとも緊急に解決すべき問題の一つとなっている.途上国での環境汚染は,寄生虫などの感染症や低栄養と複合して,先進国とは量的・質的に異なるリスクをもたらすことが考えられる.本研究は,途上国農村部において,学童を対象とした包括的で縦断的な調査を行い,農薬・金属類などの有害化学物質による軽度の水質汚染が小児の発達・成長に及ぼす健康リスクについて,定量的情報を得ることを目的とした.報告書執筆時点において未解析のデータもあるが,以下のような知見を得た. ・対象としたインドネシア西ジャワ州のチタルム川中上流域農村部(4集落)の学童においても有機リン系農薬への曝露があった.しかし,そのレベルは日本(富山市郊外)学童よりも著しく低く,検出率レベルでも欧米の小児集団よりも低いことが示唆された.少なくとも,急性の健康被害のおそれはほとんどないものと思われた. ・DDTは同国でも使用が禁止されている(一部地域でのマラリア駆除に限定した使用を除く)が,母乳中・魚肉中などから親化合物が検出され,周辺環境中に残留していて最近の曝露が起きていることが示唆された. ・2集落の学童を対象として,インドネシアで標準化されたversionのWISC(Wisconsin小児用知能スケール)を実施したところ,スコアは85程度であり,"正常域"の下限に近かった.既に得られている縦断的な有機リン曝露データとの関連についての解析を進めると同時に,研究期間終了後も同種のデータを収集し,その意義を明らかにしていきたいと考えている.
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