配分額 *注記 |
9,610千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 810千円)
2007年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2006年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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研究概要 |
1980年代〜1990年代にかけて近代化が進行中だったソロモン諸島東タシンボコ区の人々は,2000年前後の民族紛争で大きな影響を受けた。2006年の現地調査により,1996年1月に対象地区に居住していた187人のほとんどが残っており,民族紛争で直接死亡したのは1人だけであることがわかった。近隣のより強く紛争の影響を受けた地区からの流入もあり,全体として人口は増加傾向にあった。しかし,子供を対象として調べたPTSDの指標となるIES-Rのスコアは,平均すると30を超えており,紛争の影響を受けていない対照地区の約2倍であった。聞き取り調査の結果から,心理的にはほぼ全員が強い影響を受けていたが,物質的な影響は,商店経営者や養鶏業者などホニアラとの物流に依存する人ほど強い影響を受けた一方で,自給自足的な農業を生業としていた人たちにはあまり影響がなかったこともわかった。2月のマラリア検査の結果からは熱帯熱か三日熱のどちらかに感染していた割合は32%と,1995年11月の約30%より高かったが,三日熱が主体になっていた。この割合は9月には約25%に低下した。尿検査の結果では,アルカリ尿の人が増えていたことから購入食品を食べられなくなった人がいる可能性が示唆された。QOL調査の結果,環境面のQOLが低いことがわかった。 2006年9月の調査直後に首都との交通が回復したことによって生活の近代化は再び急速に進行し始め,2007年9月,2008年2月の現地調査の結果,首都ホニアラへ行く頻度が紛争前の水準に戻り,環境面のQOLも他の側面と同程度に向上したことがわかった。マラリア原虫陽性割合は一貫して低下傾向にあり,感染強度も低下していた。食生活の購入食品依存度が上昇していたが,肥満や糖尿はまだ増えていなかった。
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