研究概要 |
1.メタモデル記述から版管理機構を持ったリポジトリの生成技術 UMLなどのダイヤグラムで記述された仕様の版管理システムと変更履歴までも蓄積するリポジトリを,ダイヤグラムのメタモデルより生成する手法を開発し,実現した.メタモデルの構成要素を変更基本単位とみなし,これらの変更差分を抽出し,リポジトリに蓄積する.さらに,異なるメタモデルに従って開発された仕様片の無矛盾性を保った変更を行うための構成管理技術を開発した.この技術では,仕様間の無矛盾性を保つための制約条件をメタモデル上で記述し,メタモデルの版管理と併せて,操作的な変更差分から矛盾検出を行う機構を開発した. 2.オントロジを用いた要求仕様の意味付け技術とそれを応用した要求獲得手法の開発 変更履歴を解析するためには,仕様の意味的な解析が必要である.本研究ではオントロジを用いて仕様の意味解析を行う手法をとっている.そのため,要求獲得段階から要求とオントロジと対応付けながら要求獲得を行う方法論とその支援ツールを開発し,その評価を行った. 3.要求仕様の差分抽出,解析,パターン化技術と支援ツールの開発 上記1,2の手法を用いて,オントロジの概念と対応付けられた要求の変更を差分として抽出し,差分の意味的な分類を行うシステムの開発を行った.同じ分類の差分の頻度により,パターン化する技術も導入した.変更履歴を収集し,この手法を適用し,意味的にどのような変更がなされることが多いかを分析した.変更過程の初期段階では,機能要求が主に変更され,後段で変更された機能の品質要求が変更されていくというパターンが頻出していることが判明し,これらの傾向をパターン化し,変更予測が行えるようにした.さらに,矛盾や要求欠落を引き起こす可能性のある差分を分類することにより,分析者に問題個所を指摘する技術も開発した.
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