研究概要 |
本研究の目的は,映像のコンテンツを考慮することにより,高品質なインターネット放送サービスを実現することにある.ここでは,空間解像度,時間解像度,フレームサイズを対象に,コンテンツ種別を考慮した転送レート制御方式を提案した.具体的には,多数のユーザが映像の主観品質について同じ嗜好傾向を持っていると考えられるグループにコンテンツを分類し,このグループ毎に映像の主観品質に影響を与える要因(品質パラメータ)を分析した.そして,その結果を転送レート制御手法に適用した.本研究において規定している各品質パラメータの変更方法は,サーバの符号化特性などサーバの実装に大きく依存する.そこで,分析結果を実験システムに適用し,提案手法の実際のストリーミングサーバへの実装方法を明らかにした.具体的には以下の3つの研究成果を得た. 1.インターネット放送におけるコンテンツのグループ化: 28人の被験者を対象とした主観評価実験を行い,ユーザの映像品質に対する嗜好傾向を分析した.また,映像の特徴量を,意味的パラメータ(音声の重要度など)と視覚的パラメータ(動きの激しさなど)を組み合わせて表現することにより,精度の高い番組分類アルゴリズムを提案した. 2.転送レート制御アルゴリズムの設計: コンテンツグループ毎に重回帰分析を行い,主観品質値を各品質パラメータの重回帰式として表現した.さらに,算出した重回帰式を用いて,コンテンツグループ毎に,主観品質が最大になる品質パラメータの組み合わせを求めるアルゴリズムを設計した. 3.MPEG-1への適用: MPEG-1エンコーダとしてTMPGEncを利用し,コンテンツと主観品質の関係式に対する制約条件を明らかにした.ここではコスト関数としてエンコードレートを利用し,コスト一定の条件の下で,主観品質を最大にする制御手法を提案した.
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