研究概要 |
大学等のコンピュータリテラシ教育では,「パソコンの使い方」を指導する段階から,より高度な活用方法や情報科学の基礎を教育する段階へほぼ移行した.意欲のある学生に対する次のステップの選択肢の1つとして,「OSの設定やサーバ構築」を体験させれば,コンピュータの動作原理をより深く学ばせることが可能になり,トラブル対応能力も養成できることが経験的に知られている.実際,OSの導入・設定やサーバの構築・運用・管理の演習は,以前から多くの情報系学科で専用の実験室のパソコン(以下PC)群を用いて実施されてきた. この演習を情報メディアセンターなどの共同利用のコンピュータ教室で実施できれば,情報系以外の学生に学ばせることが可能になる.また,部局や各研究室等のサーバの運用管理を担う教職員・学生に対する講習会などにも利用できる. しかし,このような演習を実施するためには,OSのインストール作業には面倒な手順が必要であり,準備の手間も大きい.さらに,インストール作業では受講生が管理者特権を持つため,共同利用設備のコンピュータ群を利用した演習の場合には,演習室環境としてのセキュリティが確保できないという問題が生じる. 本研究では,情報メディアセンターなどの共同利用のコンピュータ教室に設置されたPCを用いて,元々インストールされているOSイメージに変更を一切加えること無くOSの設定やサーバの構築体験が可能となるシステムを試作した.具体的には,次の3種類 1.演習室に持ち込めるサイズのサーバパソコンを用いて,演習室のPCをディスクレスで稼働させる 2.クライアントPCに対してベースとなるOSイメージを共通化した上で,クライアントPC毎の変更点のみを個別に収集する 3.演習時に複数のOSイメージを並行稼働させる の機能について,方式設計を行い,LinuxおよびNetBSD/OpenSolaris上に実装して評価した.
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