研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. ●意味カテゴリの学習を用いた検索手法:形の類似比較には,形と共にその意味が大きな役割を果たす.3次元モデルの持つ意味をその検索に反映させるため,我々は,人がデータベースに付与した複数の意味カテゴリを一括してオフラインで学習する手法を提案した.少ない数の教示例から効率よく学習するために,同手法では,多数のラベル無しモデルを教師なし学習して次元削減した特徴量に対し,さらに,少数のラベル付きモデルを用いた教師あり学習を施す.評価実験の結果,既存手法を大きく上回る検索性能が得られた.3次元モデルの検索において複数意味カテゴリの一括学習に成功したのは,我々の知る限り本研究が世界初であり,検索性能も現時点で世界最高と思われる. ●局所・多重解像度・画像特徴群による検索手法:形の比較手法は,形の全体から1つの特徴をとる大域特徴による比較手法と,部分部分から局所特徴を複数取る局所特徴群による比較手法の2種類に分けられる.本手法は後者の局所画像特徴を用いる手法で,実験的評価の結果,高い検索性能を示した.具体的には,3次元形状を多視点から見て生成した2次元画像それぞれにおいて顕著点を複数検出し,そのそれぞれの顕著点において抽出した回転や変形に不変性のある多重解像度画像特徴を用いて3次元形状の類似比較を行う. 3次元モデル検索コンテストのCADモデル部門で優勝:2007年5月に行われた3次元モデル検索の世界的コンテストであるSHREC 2007の3次元CADモデル部門に参加し,2位を引き離して1位となった.用いた手法は,我々が2006年度に提案した,特徴空間における特徴の分布を教師なしで学習し,これを元に特徴の次元削減をする手法である.来年度のSHREC 2008のCADモデル部門には,上記の意味カテゴリ学習を用いた手法で参加の予定である.意味カテゴリの学習を用いた手法の検索性能はSHREC2007で用いた教師なし学習による手法の検索性能を大きくにしのぐためである.
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