研究概要 |
図書館は図書を一定数冊購入し,その範囲内で利用者に貸し出すことによって人類の知識の共有など文化の発展を担っている.そして,図書館でデジタルコンテンツ(以下コンテンツ)を扱いたいという要求は強い.しかし,デジタルコンテンツは不正コピーが作られやすいため,図書館のような貸し出し業務には向いていない.本研究では,デジタルコンテンツに対しても図書館的共同利用を可能にすることで,本研究の意義である図書館本来の目的を達成させる.具体的には,利用者はネットワークを通じてコンテンツを借りられ,利用期間内であればネットワーク接続なしでコンテンツを閲覧できるシステムを提案する.利用期間内のみ閲覧可能であり,コンテンツの不正コピーも防いでいる. 本研究の要となる携帯機器に求められる要件は,一般利用者が使用できない時計および記憶域を持ち,CPUを内蔵していることである.このような機器(以下,トークン)は存在しないため開発を行った.平成17年度では,トークンの実機を作る際に必要な要件をまとめるためにトークンエミューレータおよび図書館システムのプロトタイプを作成した,平成18年度では,トークンおよび図書館サーバ間の通信および同期が安全に行われるためのプロトコルについて研究開発を行った.また,トークンを使った応用例として,パスワードなどの秘密情報を送信する方法を提案した.平成19年度には,ICカード型としての量産も視野に入れたトークンの試作品を作成した.また,トークンを使った応用例として,オンライン試験システムなどを提案した. 我々は、利用者側の利便性を確保しながら,権利保持者の権利を守ることが出来るシステムを提案した.本システムの要は、ネットワークでの貸し出しが可能で,ネットワーク非接続で利用期間を厳密に管理した閲覧が可能である点にある.本研究は,今後のコンテンツのデジタル化に向けて,非常に重要であると思われる.
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