研究概要 |
本研究では,複数のエージェントが各自の知識ベースを持って,他のエージェントと議論,交渉,協調等により問題解決や意思決定を行なうマルチエージェントシステムを対象とし,LPNMRに基づくエージェント間コミュニケーションの形式化研究を行った。研究期間に得られた研究成果を以下に示す。 【研究成果の概要】 1.セマンティックWeb推論と議論エージェント推論の統合方法の提案 各エージェントは所与の議題に関する各自固有の戦略的知識を注釈付き拡張論理プログラム(EALP)のルール集合で表現された知識ベースとして持ち,他方,セマンティックWeb上にオントロジー知識がOWL言語で表現され,各エージェントがそれを共有知識として参照できるものとする.このような知識環境下で,各エージェントが他エージェントとの議論や交渉時にオントロジーに関する参照・推論が必要になる度に,随時セマンティックWeb推論系を介してWeb上のオントロジー知識に関する単調推論を行ないつつ,各自のルールベースの知識を用いたエージェントの議論(非単調推論)が可能となるような2つの推論システムの整合的な推論統合の方法を提案した. 2.セマンティックWeb推論と議論エージェント推論の統合推論システムの開発と評価 1.の提案手法に基づき,セマンティックWeb推論と議論エージェント推論の統合推論システム:WebArgの試作をした.試作システムは,AAMASO6国際会議のデモセッションでも公開された. 3.生成と検査の論理プログラムの統合による優先順位付き極小限定・定理証明器の構築方法の提案 本研究は不完全な知識の下での人間の非単調推論の形式化,つまり,1エージェントの推論に関する研究成果である。生成と検査の2つの論理プログラムを統合して1つの一般選言論理プログラム(GDP)を構成し,モデル生成系のみならず,1つのGDPの矛盾性判定に基づく優先順位付き極小限定・定理証明器の構築方法を提案した。 4.Answer Set Programmingによる優先順位付き極小限定・定理証明器の開発と評価 3.の提案手法に従って,ASPソルバー:DLVを用いて優先順位付き極小限定・定理証明器circum2を開発した.計算機実験による他システムとの性能比較より,circum2の性能の良さを確認した. 5.上記について,人工知能学会論文誌論文2件,国際会議論文4件,研究会論文3件の研究成果を得た.
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