研究概要 |
フレキシブルシステムとは,対象となる関数の広い範囲を表すことのできる変数を有するシステムのことである.システムがフレキシブル性を有することで,必用な関数の値が変化しても,柔軟に追従することが可能であり,特に動的な変化に対しても対応が可能である.本研究では,多目的最適化問題におけるフレキシブル性について議論を行っている.多目的最適化問題における一つの目標は,トレードオフの関係がある目的関数のパレート解集合を求めることである.そのため,本研究では,パレート解集合のフレキシブル性を議論した.ある変数がパレート解集合に対してフレキシブル性が高いとは,すべての変数を使って得られるパレート解集合の部分集合を,他の変数を固定して着目変数を変化させた時に得られるパレート解集合が高率で含有されていることを意味する.この,パレート解集合のフレキシブル性を判断する具体的な手順は次の通りである.(1)多目的最適化問題の定式化を行い,一度 対象となるすべての設計変数でパレート解集合を求める.(2)ある目的関数の値によってこれらのパレート解集合をソートする.(3)2目的の場合,均等となるように5点を選択する.(4)選択された5点それぞれに対して,1つの設計変数の値のみを変化させる.この時に他の変数の値は固定する.この操作により,変数の変化に対するパレート解の変動が求められる.これがこの点における対象設計変数のフレキシブル性である.(5)すべての点においてすべての設計変数に対して同様の操作を行うことで,それぞれのフレキシブル性を把握する.提案しているパレート解のフレキシブル性については,数値実験を通じて説明され,有効性の議論を行った.さらに,シミュレーションによるディーゼルエンジン設計問題において,本手法を適用させることで実用面においても高い性能を有することを確認した.
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