研究概要 |
従来,移動ロボット技術の中では殆どが静的環境物体のみを地図の対象としており,準動的物体、動的物体が混在する環境で地図を生成し,その地図をロボットのタスクに利用する技術については,重要であるにも係わらず未発達の状況にある。本研究の目的は,準動的物体のモデル化を含む環境地図生成と移動ロボットタスクへの利用の課題に取り組むことである. 本研究では準動的物体に無線ICタグが付けられていることを前提としている.つまり,近い将来,現在のバーコードに替わって様々な製品に付けられるユビキタス社会を予想している.具体的には,まず,移動ロボットに搭載したICタグを検出するタグリーダ(およびアンテナ)を利用して準動的物体の位置決めを行う.タグリーダでICタグの存在情報が得られると,タグの検出可能領域の境界近くにタグが存在することが分かる.一方,ロボットに搭載されたレーザ距離センサのデータの中に準動的物体の部分形状が含まれていれば,タグの位置推定とレーザ距離スキャンパターンを融合することで,準動的物体のポーズを推定し,それを作業環境地図の中に記述していくことが可能になる.本研究では,このような準動的物体の位置推定を実行し,SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)で地図を生成するプロトタイプシステムを構成した。準動的物体が次にセンシングを行ったときに移動した場合でも,それに対応するように地図を変更することが可能である.可動型のキャビネット,廊下のドア,ゴミ箱などの準動的物体が存在する環境において地図生成および地図更新の実験を行い,本提案システムの有効性を確認した.
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