研究概要 |
単板型カラーイメージセンサーは人間の網膜と良く似た構造をしている.受光面に赤,緑,青の色フィルタが塗布された光電変換素子が稠密に配列されている.近年,撮像素子の多画素化に伴い1つの光電変換素子の受光面積は減少する傾向にあるが,受光面積の縮小は相対的には雑音成分の増加を意味し,現在ダイナミックレンジの減少が問題になりつつある.一方,超高画質ディジタルシネマの撮影に利用可能な撮像素子は2000万画素程度の空間解像度,秒60コマ程度の時間解像度が必要とされている.レンズ系を考慮すると,巨大な撮像素子の利用は困難であり,より受光面積の縮小された撮像素子の開発が必要である.デバイス製造技術の進歩によりこの撮像素子の製造が可能になりつつあるが,この撮像素子から得られる映像信号はノイズに埋もれたものとなる. ノイズに埋もれた映像信号の中から高精細な映像を獲得するためには,人間の視覚機構で行われているような高度な画像処理機構を組み込んだ撮像方式の実現が不可欠である。 本研究課題では,人間の網膜のような構造,すなわち, 単板構成のイメージセンサー, 画素面積を縮小して稠密に配列(信号対雑音比よりも空間解像度を優先), 三色以上の多色カラーフィルタを利用, の構造・仕様を有するイメージセンサーを前提とし,撮影された画像をヒトの視覚系のように超高品質な画像へと加工合成可能な柔軟な画像入力方式を実現するための,撮像方式と信号処理技術の開発を行った。また,.このようなインテリジェントな信号処理手法や画像処理法の適用を前提としたイメージセンサーの構造・仕様をその用途に応じて設計する手法の検討を行った。
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