研究概要 |
1.高齢ドライバの「感覚・知覚」機能の測定方法の開発 (1)視野(静視野,有効視野),動体視力(DVA,KVA),深視力,白内障対応の静止視力を一括して測定する方法を開発した. (2)この測定方法を用いて高齢者の被験者を測定し,高齢者は若年者に比べて各視覚機能が有意に低下することを定量的に示した.定量的なデータにより,高齢者に運転時の視覚機能の低下を自覚してもらう効果があることも確認した. 2.高齢ドライバの「認知・判断」機能の測定方法の開発 (1)日常の運転場面に近い映像(運転模擬映像)を作成し,運転模擬状態で認知・判断機能を測定・評価する方法を開発した. (2)この測定方法を用いて高齢者の被験者を測定し,高齢者と若年者との運転時の認知・判断機能の違いを定量的に示した. 本方法により加齢による認知・判断機能の低下を概ね判定できる見通しが得られた. 3.高齢者向けの運転能力測定システムの試作開発 (1)視覚および認知・判断機能の測定方法に基づき,それらの機能を総合的に診断する運転能力測定システムを開発した. (2)自動車教習所等での活用を目標として,加齢による低下が特に顕著な3項目の機能(視野,白内障対応の静止視力,運転時の認知・判断機能)に限定したコンパクトな簡易測定システムを開発した. (3)可搬型の簡易測定システムを開発し,後期高齢者(75歳以上)までのデータを収集し解析した.その結果,高齢者の運転能力(主として視覚と認知・判断機能)の診断に活用できる見通しが得られた. 4.高齢ドライバの再教育・訓練方法の基礎検討 (1)定期的な運転能力の診断と訓練により,運転能力を維持・向上する可能性について基礎検討を行った. (2)市販ゲーム機と既存の視覚や認知・判断のトレーニング方法が運転能力の訓練に対して有効であることを示した. 定期的な運転能力の診断と訓練ができる新しいシステムの構築に向けて,さらに研究開発を進める予定である.
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