研究概要 |
人間から観測される不確実性のある多種多様な情報から,コミュニケーションロボットが,どのように意図や状況を理解すべきかを明らかにするとともに,人間がストレスを感じない自然なコミュニケーション制御方式について技術的な解決策を示すことを目的とし,(i)確率モデルに基づく意図・状態理解,(ii)階層的な確率的状態遷移モデルに基づくインタラクション制御モデル,(iii)相互引き込みによるコミュニケーション制御に関して検討を進め,コミュニケーションロボットの認識精度を向上させるために,(iv)意図・状態理解のためのセンシング方式にも取り組んだ結果,ストレスを感じない自然なコミュニケーションの実現に一歩前進したと言える.具体的には, 1.ダイナミック・ベイジアンネットワークの出力値である意図推定確率の時系列変化曲線の特性パターンに基づく意図理解・意図獲得を行う方式を提案し,コミュニケーション制御において確率モデルに基づく意図・状態理解の実現可能性を示した. 2.階層的な確率的状態遷移モデルに基づくインタラクション制御モデルを提案し,人間・ロボット間の複数のインタラクションモジュールを効率的に構成可能であることを,実装したコミュニケーションロボットで示した. 3.頷きや相槌・呼吸などの間に基づき,コミュニケーション制御を円滑に行う相互引き込みアルゴリズムを適用し,その有効性を示した. 4.意図・状態理解のために必要なセンシングとして,人間の位置同定,視線認識・話者の方向認識・ジェスチャ認識に着目し,環境変化やノイズにロバストなアルゴリズムを適用し,意図・状態理解の実現性を向上させた. 今後の研究課題としては,複数人の間での相互引き込みのコミュニケーションモデルの解明とコミュニケーションロボットへの実装および評価や,飽きないコミュニケーションモデルの解明が挙げられる.
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