研究概要 |
本研究では,複雑な非線形振動現象を、時空間アナログ離散事象の発生として捉えろという,新しいモデリングのフレームワークと,その際に必要となる高能率な非線形予測技法の提案をしていろ.このモデリングフームワークでは,イベントの発生という現象から得られる,イベントの大きさとイベントの発生間隔を用いており,提案したモデリング手法の評価方法として,イベント系列の予測を行なっている,本研究で用いる局所線形予測法では、アトラクタ上の予測対象点の近傍点を選択し、その局所的な挙動に基づいて予測を行う手法である.もし観測される時系列信号長が短い場台やノイズにより乱された場合、正確な予測は困難となる,この問題を解決するために、本報告では統計学において用いられる手法の一つであろブートストラップを導入した新しい非線形予測法を提案していろ,ブートストラップ法とは、標本データの復元抽出を複数回行うことで、母集団の統計量をより正確に推定する方法である.このようなブートストラップ法の慨念を、局所線形予測法において重要な近傍点の選択のための手法として適用する.提案手法を種々の時系列信号に対して適用した結果、局所線形予測法に対してブートストラップ法を適用することで、従来の予測手法に比べて、平均二乗誤差で評価される予測精度が改善されることを明らかにする,さらに,予測手法の有効性を定量的に評価する指標として、ブートストラップ予測法が作り出す複数の予測値の空間分布情報を用いることで、予測領域を推定する新しい手法を提案する,提案すろ予測領域推定法は,台風の通過予報円のように、今後の状態変化を大域的な視点から,予測領域として示すものでもある,数値実験の結果、ブートストラップ非線形予測法によう予測領域の推定精度が、予測領域推定手法の従来技法の一つであるアンサンブル予測法と比較して、十分に有効であることを示した.更に,本研究では,提案するカオス時系列解折技法とその予測法に関連する内容として,サロゲートデータ法,時系列信号からの力学系の構造抽出に関する研究についても詳細な検討を行い,多次元時空間アナログ離散事象の高精度な予測に向けた重要な知見を得ることができた.
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