研究課題
基盤研究(C)
(1)利付債の取引データから金利期間構造をノンパラメトリック推定する問題では、フォワードレートを基底展開する方が、推定誤差が小さいことが経験的に知られている。しかし、この方法の問題点は、もはや一般化交差検証法による正則化パラメータの選択が理論的根拠を失うことである。これに対し、一般化情報量規準GICを援用することで、理論的根拠のある正則化パラメータ選択法を提案した。結果は論文査読を経て国際学会MODSIM05で報告され、議事録に掲載された。(2)時系列モデルの選択問題として、一変量および多変量GARCHのモデル比較を、所与のダウンサイドリスク(具体的にはValue at Risk)とのコヒーレンシーの観点から行った。各種モデルの推定結果を所与として予測シミュレーションを行い、VaRの下側1%点を超える経験的頻度を二項検定で比較した。多変量GARCHモデルに対しては、パラメータ数を勘案すると、動的条件付相関モデルが最もパフォーマンスが良く実用的であることが明らかになった。一変量での解析結果は査読を経て国際会議ICCMSE05で報告され会議録に掲載され、多変量の結果は査読を経て雑誌「統計数理」に掲載された。(3)正則化法を利用した状態空間モデルの応用として、干渉項を含む観測不能要素型時系列モデルの推定に関する研究を行った。動物への薬物投与実験から得られた、最低血圧、最高血圧、心拍数等の時系列データに対し、トレンド成分、定常AR成分、指数関数型干渉項への分解モデルを与え、個体ごとに毒性を検出する方法を研究した。その成果は国際会議MODSIM07において報告され、査読付き会議議事録に論文として出版された.(4)研究成果公開の一環として、状態空間モデルによる時系列解析をウェブ上で可能にするシステムを中心に据えたオンライン学習システムの構築を研究し、その成果を国際学会で報告した。
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