研究課題/領域番号 |
17500209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (2006) 京都大学 (2005) |
研究代表者 |
内藤 栄一 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報研究所, 主任研究員 (10283293)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 頭頂葉 / 空間認識 / 身体像 / 外部道具使用 / 運動錯覚 / 核磁気共鳴装置 / 機能的核磁気共鳴装置 / 道具使用 / 体性感覚 |
研究概要 |
人間は自分の身体像を脳内に神経活動として再現する。この身体像を基に外界の物体との空間関係を把握し、これにより外界物体が手(身体)と一体化するかのような制御が可能になる。その際の脳内情報処理を以下のとおり明らかにした。 閉眼被験者の四肢の腱を振動刺激すると、その四肢の運動感覚を惹起できる。このとき、実際の四肢の運動は伴わないが、運動領野や右半球前頭-頭頂葉が活動し、四肢運動の認識に関与する(Kito et al. 2006;Naito et al. 2005,2007)。この運動錯覚を経験している手を外界の物体に接触させると、手の運動錯覚にあわせて、物体も一緒に動いている錯覚を明瞭に経験できる。このとき機能的核磁気共鳴装置で脳活動を測定すると、左半球の44野と下頭頂葉が特有に賦活し、特に左下頭頂葉は手の左右に関わらず共通に賦活することを解明した(Naito&Ehrsson 2006)。これらの活動は、手の運動感覚情報と手がボールに接触しているという情報を脳が統合する過程に関係したものであるから、手の内的運動表象とボールの外部表象が一体化する過程を反映していると考えられる。同様に、被験者が両手で長い物体の端を軽く持っている最中に、右手首の伸展筋の腱を振動刺激すると、被験者は手首の屈曲運動錯覚に伴って、外部物体が縮むような錯覚を経験する。このとき、両側の上頭頂葉(5野)が特有に賦活する。この活動は手の動的な運動感覚情報と両手で物体を持っているという情報とを統合して両手-物体運動知覚を生起するのに関与することを示唆している(Naito et al. submitted)。以上のように、運動錯覚を応用して核磁気共鳴装置で脳活動を測定することで、外界物体を自己の身体像に関連させて自己の身体座標と統合する過程における、頭頂葉領域の合目的な脳活動パターンを明らかにした。
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