研究課題/領域番号 |
17500222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水口 雅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20209753)
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研究分担者 |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
伊藤 雅之 東京大学, 国立精神・神経センター・神経研究所, 室長 (50243407)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 結節性硬化症 / 細胞内情報伝達 / 免疫組織化学 / Westernブロッティング / 腫瘍 / 過誤組織 / 形成異常 / 皮質結節 / モデル動物 / 神経病理 |
研究概要 |
結節性硬化症(TSC)の原因遺伝子TSC2の蛋白産物tuberinの上流にはinsulin/PI3K/Akt、下流にはRheb/mTOR/p70S6K/S6がある。従来の研究により、ヒトTSCの病変(腫瘍、過誤組織)ではtuberin機能低下のためmTOR経路が異常に活性化し、S6リン酸化が亢進することが示された。このうち腫瘍はtwo hitメカニズムにより生じ、PI3K/Akt経路の活性はfeedback機構により低下する可能性が指摘されている。いっぽう、脳の皮質結節(過誤組織)ではsecond hitは無く、PI3K/Akt経路の活性化によりtuberinのリン酸化を介した恒常的不活化が生じるとの仮説が提唱されている。本研究ではまず、ラットTsc2機能喪失変異に起因するTSCモデル動物Ekerラットを用いて、in vivoでこれらの仮説があてはまるかどうかを免疫組織化学的に検証した。その結果、脳・腎の悪性腫瘍においてはAktリン酸化の亢進は無く、mTOR、p70S6Kのリン酸化亢進が一部の腫瘍細胞で認められた。脳の過誤組織(皮質結節)ではAktリン酸化は正常神経細胞と同等、mTOR、p70S6Kのリン酸化は全く認められず、一部の反応性グリア細胞が強いAkt、p70S6Kのリン酸化を示した所見と対照的であった。また、これらの全ての病変でS6リン酸化は著明に亢進していた。本研究では次にEkerラットの脳、腎におけるこれら因子の発現・リン酸化をWesternブロッティングにより検討した。その結果、Ekerラットの非癌部腎皮質と大脳ではAkt、tuberin、mTOR、p70S6K、S6の発現・リン酸化の変動は認められなかった。Ekerラット腎癌ではAktリン酸化低下、tuberin発現低下、mTOR発現上昇、S6リン酸化上昇が見られたが、p70S6Kリン酸化は増えていなかった。以上の結果よりtuberin下流から上流へのnegative feedback、およびp70S6K以外の因子によるS6活性化が示唆された。
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