研究概要 |
シナプス後部にmRNAが存在し,局所翻訳されてシナプス後部タンパク質となる複数の新規完全長遺伝子(候補)をクローニングし,コードするタンパク質の性質や生理機能を明らかにした。 1.LRP4(LDL Receptor-related protein 4)およびsynUSP(synaptic Ubiquitin-specific protease)の遺伝子欠損マウスを作出するためのtargeting vector作成までを完了した。引き続き欠損マウスの作成を継続している。また,LRP4の内在性リガンドの一つとしてapoEを同定した。他のリガンドも特定し,その分子と連携してLRP4がaxon guidanceに関わることを明らかにした。 2.LRP4のリガンド結合ドメインに対する抗体を用いて,LRP4がシナプスの分化や維持に関わっていることを明らかにした 3.PSD画分に含まれるmRNA種をgene chip microarrayにて網羅的に解析した。PSD画分に特異的ないし高度に濃縮されたmRNA約1900種を特定した。また,神経疾患に関わる遺伝子の局在を明らかにした(Neurosci.Res,2007,57:61-85)。 4.p55 proteinがPSDを含めてシナプス後部特異的に存在することを電子顕微鏡レベルで明らかにした。 5.synArfGEF/BRAG3類縁のGEF, IQ-ArfGEF/BRAG1の性質を明らかにした。 6.細胞内に発現させたsynUSPの作用によりあるsynUSP基質の分解遅延(おそらくプロテアソームによる分解抑制)が起こることを明らかにした。 7.calmodulin kinase IIのクラスター形成がlipid raft上で起きることを明らかにした。
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