研究課題/領域番号 |
17500255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鹿川 哲史 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (50270484)
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研究分担者 |
清水 健史 熊本大学, 発生医学研究センター, COEリサーチアソシエイト (60398237)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 神経幹細胞 / 細胞増殖 / 未分化性維持 / Wnt / FGF2 / Notch1 / GSK3β / Hes1 |
研究概要 |
我々はWntシグナリングが神経発生の比較的後期においてオリゴデンドロサイト分化を阻害しアストロサイト分化を促進することを報告した(Shimizu他2005, Dev Biol)。しかし、代表的なWntリガンドであるWnt3aの遺伝子ノックアウトマウスやWntシグナリング下流で活性化される転写因子TCF1・Lef1のダブルノックアウトマウスは著しい海馬発生障害を示すことから、Wntは脳発生の多極面で機能すると考えられる。そこで、海馬発生期におけるWnt3aの機能を検討した。マウス胎生15日胚より調製した海馬初代培養系にWnt3aを4日間添加すると非添加群に比べ総細胞数が1.4倍に増加した。一方、Tuj1陽性神経細胞数も1.4倍に増えており、Wnt3aが「細胞増殖」と「神経細胞分化」を同時に促進する一見矛盾した実験結果となった。ハエや線虫を用いた研究ではWntは非対称性分裂を促進することが報告されている。仮にWnt3aが海馬初代培養細胞の非対称性分裂を促進すれば増殖と分化の両立も可能と考えられたので、海馬由来の神経グリア前駆細胞を低力価GFPレトロウイルスで標識し、各クローンの細胞系譜をWnt3a添加・非添加群で比較した。しかし、いずれの群も1個の神経細胞と1個の未分化細胞を産生する非対称性分裂は約15%、2個の神経細胞を生む対称性分裂が約33%、2個の未分化細胞を生む対称性分裂が約50%程度と顕著な差は無かった。残された可能性を探求しGFPレトロウイルスとBrdUの二重標識により細胞分裂速度を測定した。Wnt3a添加群では細胞周期の最頻値(mode)が約2時間短縮され、Wnt3aに細胞分裂速度促進作用があることが明らかとなった。Wnt3aは細胞周期を短縮し一定培養期間における細胞分裂回数を増やすことによって総細胞数と神経細胞数の両方を増加させることが考察された。
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