研究課題/領域番号 |
17500279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
赤須 崇 久留米大学, 医学部, 教授 (60113213)
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研究分担者 |
蓮尾 博 久留米大学, 医学部, 助教授 (90172882)
武谷 三恵 久留米大学, 医学部, 助手 (30289433)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 脳外傷後遺症 / 歯状回及び海馬CA1領域 / ジアゼパム / グルタミン酸作動性神経 / NO除去効果 / 抑制性シナプス伝達 / てんかん / 記憶障害 / 頭部外傷モデル / 興奮性シナプス伝達 / グルタミン酸 / ガンマーアミノ酪酸 |
研究概要 |
中等度の液体打撃をラットの左頭頂部大脳皮質に与えて作製した実験的脳損傷モデルラットから、海馬や歯状回領域を含む厚さ約400ミクロンの冠状断および水平断脳スライス標本を作製した。外傷ラットの海馬CA3-CA1ニューロンの活動性とその伝播領域はsham手術ラットに比べ著明に亢進していた。また、細胞内電極法により得られたEPSPは、外傷ラットにおいて反復性のスパイクを持ち、明らかに興奮性の増大が認められた。神経細胞の静止および興奮時の電気生理学特性はFPIラットと健常ラットと差異は認められなかった。水平断脳スライス標本の海馬では、グリア細胞の増殖は認められず、興奮性アミノ酸ニューロンの異常発芽も観察されなかった。FPIラットの海馬ニューロンにおいて、刺激の大きさと反応(EPSPの立ち上がり速度:EPSP slope)の関係(input-output relation : I-O関係)をみたところ、衝撃側で興奮性シナプス伝達が亢進していた。EPSPの時間経過(time course)はビククリン存在下で著明に延長し、このEPSPによって活動電位が繰り返し惹起された。従って、抑制神経の障害による脱抑制ではなく、興奮性シナプス伝達が直接、過剰興奮しているものと考えられる。興奮性シナプス伝達の長期増強(LTP)はFPIラットで抑制された。臨床で脳保護作用を持つことが示唆されているジアゼパム(ベンゾジアゼピン誘導体)をラットの腹腔内に液体打撃を与えた30〜90分までに投与すると、FPIによるCA1ニューロンのシナプス伝達の過剰興奮を阻止した。NOのスカベンジャーであるエダラボンを外傷後15分でラットに投与すると、液体打撃後の歯状回ニューロンの過興奮やLTPの抑制を軽減した。これらの結果から、低体温や外傷後に投与したジアゼパムとエダラボンは頭部外傷後のてんかんや記憶障害を改善することが示唆された。
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