研究概要 |
ロボティクスを応用した実験系に圧力分布を実時間で計測するセンサを組み込んだシステムを構築することにより,軟部組織を温存した動物関節の生理的条件下に近い状態での圧力測定を行った.ウサギ膝関節を対象とした測定を行い,外傷治療として行われる半月板切除術の大腿脛骨関節面への影響を検討した. ロボットアーム(RV-1A,三菱電機),6軸力センサ(IFS 67M25A-I40,JR3),圧センサ(I-SCAN 10×10 H2.5,ニッタ)を組み込んだ実験系を構築した.ロボットアームの位置を測定座標にて固定し,その際検出される荷重と圧力をリアルタイムで計測した.初期荷重を10Nとし,荷重直後,150s後,300s後,600s後,1200s後の荷重と圧力を計測した.試料は日本白色家兎(11週齢オス,体重2.5kg,n=7)の膝関節を使用した.屠殺後,膝関節部分を切り出し,-40℃で保存した.実験開始直前に解凍し,皮膚,筋肉などの半月板,靭帯以外の軟部組織を除去した.大腿骨,脛骨の骨幹部で骨切りし,脛骨側試験片をセンサ側に,大腿骨側試験片をロボットアームに固定した. 膝関節の初期位置を目測によって決定し,その座標をコンピュータに記憶させた.関節に半月板を残した状態で靭帯や軟部組織を除去し,試験器にセットした.膝関節の間にシート状の圧力センサを挟み,初期位置からセンサ出力10N程度まで垂直方向に力を加え,力が安定したときの座標をコンピュータに記憶させた.荷重姿勢を保ったまま,荷重直後,2.5分後,5分後,10分後,20分後の圧力分布と全荷重をリアルタイムで計測した.5回の繰り返し実験の後に,半月板を切除し,同様の測定を行った. 無侵襲(半月板あり)では,ピーク圧力の平均値は0sにおいて0.363±0.031MPa,150sにおいて0.362±0.012MPa,300sにおいて0.357±0.031MPa,600sにおいて0.361±0.015MPa,1200sにおいて0.347±0.033MPaであった.半月板切除後では,ピーク圧力の平均値はOsにおいて0.376MPa,150sにおいて0.376MPa,300sにおいて0.372±0.006MPa,600sにおいて0.374±0.005MPa,1200sにおいて0.367±0.009MPaであった.
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