研究概要 |
近年、幹細胞から臓器を再生させる再生医療が注目されているが,特に,細胞の足場となるセルスキャホールドとしてのバイオマテリアルは,骨の再生に重要である.生分解性及び吸収性に優れている自然骨に類似した結晶性を有するハイドロキシアパタイトへ転移して自己硬化する機能を有するアパタイトセメントを用いてアパタイト・コラーゲン複合化人工骨を調製した.また,この複合化骨セメントにビタミンK2を含有させた・これらのセメントをラットに埋め込みセメントの密度に経時変化を測定し,セメントの吸収性を測定した.一方,亜鉛,マグネシウム,フッ素を含有するアパタイト複合化微粒子を含み懸濁注射剤を調製して,骨粗しょう症ラットに適用した.リン酸カルシウムの生分解速度に依存してアパタイト複合化微粒子からZn, Mg, Fが徐放されて,大腿骨の骨細胞に分化を促進して適用後の骨密度が有意に増加した.また,アパタイトセメントを用いてリン酸溶液と錬合するし,ペーストとした.これを400ミクロンの細孔をもつ金型に流し込み硬化させ完全連通孔を持つセメントを調製した.この多孔性硬化体をラット大腿骨から採取した骨階細胞を播種し,セメント上での細胞を培養する.培養細胞は,多孔性硬化体の生体活性に依存して分化誘導した.コントロールとして用いられるアパタイト硬化体の細胞の活性を証明することにより,本多孔性硬化体の生体親和性を示すとともに細胞製剤への展望を証明した.完全連通孔により,骨細胞は,孔のなかで十分な細胞分裂により細胞数を増加させた.
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