研究概要 |
〔目的〕重度心身障害を伴う大脳性視覚障害(CVI)児に対する残存視覚の評価方法を確立するため,視察による瞳孔反応(PR)法を用いたコントラスト感度測定の信頼性と妥当性を確認する. 〔方法〕1.健常成人12名に対して,内観報告,視察による瞳孔反応法,瞳孔計によるPR法の3種類の測定法で輝度・赤緑色度コントラスト感度(CS)を測定した.また,視察によるPR法に関しては日を改め再度測定した.2.健常児童9名に対して,内観報告,視察によるPR法,視察による視運動性眼振(OKN)法の3種類の測定法で輝度・赤緑色度CSを測定した.3.CVI児10例に対して,視察によるPR法,視察によるOKN法の2種類の測定法で輝度・赤緑色度CSを測定した.また,3例のみ視察によるPR法で再測定を実施した. 〔結果〕方法1では,視察によるPR法と内観報告との間で輝度・赤緑色度CSともに有意な正の相関を示した.また,2回測定された視察によるPR法の級内相関では,輝度・赤緑色度CSともに有意な強い相関を示した.しかし,視察によるPR法と瞳孔計によるPR法との輝度・赤緑色度CSにおける一致度は低かった.方法2では,輝度・赤緑色度CSとも視察によるPR法と他の測定法との一致度は年齢の低い群では不良であった.方法3では,視察によるPR法は,輝度CSにおいて年齢の高い症例で視察によるOKN法との一致が良好であった. 〔結論〕視察によるPR法は,輝度・赤緑色度CSともに少なくとも青年期の対象者で有用である.
|