研究分担者 |
川平 和美 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30325782)
余 永 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (20284903)
末吉 靖宏 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (30196688)
林 良太 鹿児島大学, 工学部, 講師 (40288949)
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研究概要 |
本研究は,脳卒中片麻痺患者を対象として,麻痺上肢の運動筋に振動刺激を与えて随意運動を積極的に誘発させ,かつ筋緊張や痙性ならびに運動に伴う疲労などを軽減させて訓練運動を頻回に行うことを可能にし,脳神経系を活性化させて麻痺回復を促進させるためのシステムの開発,ならびに本システムを使った新しい運動療法の発展を目的としたものである. 機能的振動刺激装置を組込んだ訓練・検査システムを鹿児島大学医学部・歯学部附属病院霧島リハビリテーションセンターに設置し,臨床試験を実施した.その結果,以下の知見が得られた. 1.上肢運動筋にセットできる振動モーターを使った小型の機能的振動刺激装置を開発した. 2.片麻痺上肢および手指の運動のいくつかについて,振動刺激によって運動を誘発する筋群とそれに対する最適な振動刺激点を選定した. 3.上肢および手指の伸展運動時に振動刺激を加えて検討した結果,機能的振動刺激による随意運動の容易な誘発が確認できた. 4.訓練および検査課題に機能的振動刺激を組込んだ検査・訓練システムを実現できた.この結果,運動機能回復過程における機能的振動刺激の定量的な評価が可能となった. 以上,機能的振動刺激法の基本的な有効性を明らかにすることができた.しかし,振動刺激の振幅や周波数,ならびに機能的振動刺激の最適なシーケンスなどの検討は不十分である.これらは今後明らかにしなければならない重要な課題である.また,症例によっては振動刺激以外の機械的な刺激の必要性もあろう.このような刺激装置の考案も今後の課題である.
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