研究課題
基盤研究(C)
発達性吃音は、複数の要因が複合的に関与して、発吃、進展していく。このため、その全体像の的確な把握と治療方針立案のためには、多側面からの評価が不可欠である。本研究では、米国のCALMSモデルを参考に、日本の文化社会的背景を考慮したマルチディメンジョナル・モデルを考案、その具体的な評価法を作成することを目的とした。平成17年度には、前述のモデルの提唱者であるDr.Healeyを訪問し、その詳細につき情報収集、意見交換を行った。そして、吃音発症、進展に関わる説明因子として、吃音症状・発話運動技能因子、吃音の認識・自覚因子、情緒面因子、言語面因子、社会環境因子、行動特徴因子の6因子によるマルチディメンジョナル・モデルを考案した。さらに、それぞれの因子の評価は、改訂版吃音検査法や、コミュニケーション態度の自己評価表、性格や行動特徴に関する質問紙、標準化された言語力テスト、行動観察などで実施することとし、各因子の具体的な評価基準の作成を試みた。その際、言語面因子の指標を得るため、様々な言語的側面が非流暢性に与える影響についての研究を行いその基礎資料を得、結果をInternational Fluency Associationの国際学会(2006)にて報告した。さらに、研究代表者が担当した発達性吃音症例のレトロスペクティブな資料を上記の視点から評価、分析し、マルチディメンジョナル・モデルに基づくプロフィールの特徴などを検討した。今後新たな症例に対し本評価法を実施し、妥当性を検討するとともに、治療経過の分析を行い、本モデルを治療法へどう活かすかについて検討する予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
音声言語医学 46・3
ページ: 190-195
10016608001
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The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics Vol 46(3)
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