研究概要 |
北陸地方の魚介発酵食品の機能性について検討した。まず,かぶらずしについて17日間の発酵過程における各材料(カブ,ブリ,麹)のラジカル消去活性をDPPH法で経時的に測定した。その結果,カブとブリに関しては0日目から3日目に大幅な活性の上昇がみられ,その後はほぼ一定であった。また,製造元・原材料の異なる各種魚醤(イシル)8種のラジカル消去活性を調べた結果,活性は試料の吸光度(500nm)の高さにほぼ比例しており,メイラード反応の進行と深く関わっていることが示された。一方,魚醤の粗タンパク質含有量はラジカル消去活性の高さとは必ずしも一致しなかった。 また,高いラジカル消去活性を示したイカイシルを用いて,活性成分の分離・精製を試みた。イカイシルの70%エタノール抽出液をゲル濾過クロマトグラフィー(Sephedex LH-20カラム)に負荷したところ,220nmの検出で4つのピークが得られ,うち溶出量198mlのピーク(F-33)及び溶出量366mlのピーク(F-61)に高い活性が認められた。F-33では,500nmにおける吸光度が最高値を示したため,イシル製造過程で生成されたメイラード反応生成物がラジカル消去活性に寄与した可能性も考えられた。各ピークを逆相カラムHPLCにより分離・精製した結果,6つの成分を得た。これらはトロロックス量換算で約16〜22mg/gの高い活性を有しており,これはイカイシル本体の10〜13倍に相当する活性であった。現在,これら6成分についてアミノ酸配列解析を行っている。
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