研究概要 |
一般の油脂であるトリアシルグリセロール(TAG)と分子構造の異なるジアシルグリセロール(DAG)の乳化特性を明らかにすることを目的とした. 1.基礎実験系;油相体積分率(φ)0.5,油:卵黄水溶液=1:1とした場合の,卵黄水溶液濃度,pHおよびNaCl添加の影響を検討した結果,DAGの界面張力に及ぼすpHの影響はTAGのそれよりも小さかった.平均粒子径にはpHよる差は見られなかったが,pH6で調製したDAGエマルションは高い粘度を示した.NaClの添加によりDAGの界面張力は低下し,乳化容量は顕著に高くなった. 2.マヨネーズ様濃厚エマルション系;油相体積分率(φ)0.7,水相中の卵黄:3.5%酢酸溶液=1:1の場合、1)塩の種類(NaCl,KCl,CaCl_2,MgCl_2,MgSO_4)および塩濃度の影響は、塩類の添加により全てのエマルションの平均粒子径は小さくなり、粘度は高くなった.特にDAGはNaCl添加の影響が大きく少量添加でエマルションの粘度は増大した. 2)卵黄成分の影響は,卵黄を分画して得た高密度画分の乳化性はDAGに対して若干優れていた.低密度画分は,DAGに対して有能に機能しないことが認められたが,卵黄そのものを乳化剤としてマヨネーズ様濃厚エマルションを調製した場合には,卵黄の乳化機能は有効に発現し,DAGはTAGよりも粒子径が小さく粘度の高いエマルションとなった.3)DAGエマルションの調製過程中の粘度の変化は、油相体積分率(φ)0.55からTAGのそれに比べて大きくなり、特に(φ)0.6を超えるとDAGの粘度は急激に高くなった。また(φ)0.6のDAGエマルション中の油滴界面に吸着したたんぱく質量は、TAGのそれに比べて多いことが示唆された。
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