研究概要 |
1.小豆の製餡加工時に生ずる種皮を乾燥し粉砕したもの(製粉:素材A)と廃液の渋汁(素材a)を食品素材に有効利用する目的で研究した。素材の処理なしA,aを好適な精製条件として温度40℃,超音波照射15分間(種皮粉:素材B)と10分間(渋汁:素材b)処理が有利であり,この素材B,bは特有な臭気は緩和され,小豆色を帯び,成分はたんぱく質,遊離アミノ酸、食物繊維,無機質が比較的多く含有され、高い抗酸化活性を示した。 2.小豆の食品素材として普及させる目的で,素材B,bをマフィン,蒸カステラおよびクッキーの調製に活用し,性状,嗜好や保存性の影響を検討した。素材B,bの物性のテクチャーや嗜好性に何らの影響はなく、マフィン,蒸カステラおよびクッキーには20%まで小麦粉と置換でき,保存試験も良好な結果であり、全粒粉添加クッキーも同様に良好な品質評価を得た。試料B(素材b添加水羊羹)は、試料S(基本)と試料A(素材a添加水羊羹)に比較して小豆色を帯び,官能評価では臭気が著しく減少し,総合的に好まれた。試料Bは試料Sと試料Aに比較してDPPHラジカル捕捉活性と総ポリフェノール量が有意に高かった。さらに、この試料Bに蒟蒻ゾル2.4%添加することによりテクスチャーが硬くなり,著しく離漿が少なく,クライオSEMの組織観察では,寒天の網目構造に蒟蒻ゾルが浸入した状態が観察され、基本と相違していた。従って,超音波照射は小豆種皮粉及び小豆渋汁の品質改良に有効であると証明された。超音波照射は,小豆種皮粉,渋汁および小豆全粒粉の品質改良に有用である事が証明できた。
|