研究概要 |
1.米タンパク質を飼料としての栄養試験 米タンパク質の調製法として,アルカリ処理法(AE-RP)とα-アミラーゼによるデンプン分解処理法(SD-RP)の両方法が確立されて安定供給が可能となり,両者の消化・吸収性について比較検討した.調製した米タンパク質の電子顕微鏡観察,ラットを供試動物としてのin vitro,およびin vivo試験,成長試験,Western Blot法による糞中の13kDaプロラミンの検出試験などから,AE-RPの生体でのタンパク質利用効率(PER)はカゼインをタンパク質源とした場合と同等に優れていることが明らかになった.この理由として,Protein Body I(PB-I)の表層構造の変化により難消化性とされているプロラミンが消化・吸収されて利用されるためと考えられた. そこで,本研究における抗酸化性の試験や免疫調節機能の比較検討には,AE-RPを用いた. 2.肝臓および血液を用いての抗酸化活性の検討 AE-RPを給与したラットの肝臓のスーパーオキシドジスムターゼ,グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px),カタラーゼ活性や過酸化脂質の指標としてのTBARS価などを測定した.ラットの週齢や病態モデルラットなどの供試動物によって多少異なるが,米タンパク質摂取は肝臓のGSH-Px活性を増強する傾向が明らかになった. 3.米タンパク質と他食品タンパク質による免疫調節機能の比較検討 血中IgG濃度は,カゼインや大豆タンパク質を給与した場合(CP14%)に比べて,米タンパク質では有意に低くなった.抗原刺激による抗体産生に対する米タンパク質の影響を調べた試験では,米タンパク質摂取でOVA特異的IgG濃度は,他タンパク質に比べて増加する傾向がみられた.また,脾臓と小腸内容物のIgAの比較から,米タンパク質がIgA産生に直接的に影響を与えている可能性が示唆された.
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