研究概要 |
小・中・高等学校および大学基礎化学教育における化学安全教育のためのコンテンツ開発を目的として,演示実験および生徒・学生実験教材の開発を行い,教育実践的研究を通じてその有効性を検証した。本研究を通じて以下の成果を得た。 (1)有害気体の取り扱いに関する安全教育の教材として,二酸化窒素を素材としてその化学的性質と安全な取り扱いを理解させるための実験教材について検討した。その結果,「二酸化窒素の噴水実験」と「注射器を用いた化学平衡」の実験教材を開発した。大学基礎化学教育における教育実践を通じて,開発した実験教材の有効性について検証した。 (2)加熱実験における安全教育の新たな教材として,家庭用電子レンジを用いた無機固体水和物の加熱実験を素材とした実験教材を開発した。硫酸銅(II)五水和物と硝酸コバルト(II)六水和物の加熱過程を比較することにより,電子レンジでの加熱実験における危険性を認識させることができることを明らかにした。 (3)有機溶媒の毒性とその安全な取り扱いに関する教材として,ベンゼンのスルホン化反応のマイクロスケール実験を開発した。高等学校における教育実践的研究を通じて,有機溶媒の安全な取り扱いについて理解させるための教材としての有効性を検証した。 (4)実験室における化学薬品による汚染の実態を認識させるための実験教材として,フルオレセインを指示薬として用いた中和滴定実験を開発した。大学基礎化学教育における教育実践を通じてその教材としての有効性を検証した。 (5)小・中・高等学校で取り上げられる理科および化学実験における安全教育および大学基礎化学における化学安全教育のための教育資料集としての活用を目的として,従来から用いられている教材と本研究で開発した教材を収録したWebページを作成した。
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