研究概要 |
申請者は,「学習指導案オーサリングシステムの開発と実用化」と題して平成17年度および18年度を通じ,以下のような研究成果を挙げた. (1)学習指導案オーサリングシステムの強化 申請者が試作したこれまでの学習指導案オーサリングシステムは小規模なものであったことから,すでに実際の指導案作成指導を行う授業時においてもアクセス集中によるハングアップが生じるなど運用上いくつかの問題がみられており,これを解消する必要があった.そこで,本申請によって新たに学習指導案オーサリングシステムのための中規模サーバシステムを,将来的に分散処理環境が可能になるように特にシステムの強化を行った.これにより,マルチユーザ・マルチタスクにおけるある程度の安定化が実現された. (2)汎用な指導細案の書式の策定 指導案の中で,授業における指導の流れを表す指導細案(以下,指導案)は,これまでに多くの教員によって作られてはきたが,指導細案のフレームワークや教授方針が統一されていないことから,電子化して共有を行うためには書式の統一などいくつかの問題点が残されていた.そこで,様々な科目や単元で利用可能な書式の策定を目指した.その結果,本研究で提案した指導案の書式がこれまでに様々な教科や単元で利用されており,受け入れ可能であることが明らかとなった. (3)指導案における指導段階プリファレンス情報の導入 本システムを通じてより積極的に指導案を作成・検索・利用してもらえるように,指導案の内容について吟味してきた.本研究では,教育的観点とオントロジー的観点の両面から分析を行い,指導段階において記述内容の傾向を示すプリファレンス的な情報を「指導段階プリファレンス情報」と名付け,これを新たに書式に組み込むことにより,より実用性の高い指導案の書式策定を行った. (4)(4)システムの評価と今後の方向性 ユーザ・現職教員・専門家から本システムに対して一定の評価を得,今後の方向性が明らかとなった.
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