研究概要 |
(1)物理学図書、科学機器製造業者のカタログの収集 明治以降に発行された物理実験書および物理実験の記述が豊富な物理学教科書を、インターネットを活用して日本の古書店ならびに欧米の古書店から購入した。それらを、三高四高由来の実験器機の個別発達史の解明に活用した。明治以降の実験機器商品カタログ(日本のカタログ及び欧米のカタログ)を多数収集した。個別実験機器史の研究調査に活用した。 (2)三高図学地学教室由来の測量製図器械カタログの作成 京都大学総合人間学部に保管されていた(現在、京都大学総合博物館に収納されている)旧制第三高等学校由来の測量製図器械136点について、器械の写真、購入年、製造業者名、購入価格を掲載したカタログを鉄尾実與資氏とともに作成した。同カタログ(43ページ)は、両面カラーコピーをして、301冊作成し、関係研究機関、研究者に配布した。 (3)昭和17・18年の科学研究機器全国所蔵調査目録のデータベース化 昭和17,18年に発行された、文部省科学局発行の『科学研究用機械器具集録』(当時の研究用実験機器所在調査目録)には、所蔵研究機関、機器名、製造業者名、購入年等が記載されており、日本の実験機器史に関する貴重なデータである。1247ページのデータ(総レコード数は14940)をExcelに入力した。 (4)三高四高由来実験機器を史料とした音響機器の発達史の解明音響機器に絞って発達史を明らかにした。具体的には、(1)空気砲と音伝達試験器、(2)四面回転鏡と音波形分析、(3)リサージュ図形と音周波数計測をテーマとして調査した。それらの結果は、2007年3月に日本物理学会の物理学史分科会で発表した。 (5)保存実験機器に関連する図書図版集の作成 保存機器に対応する各実験機器の発達史をたどるには、当時の物理書、器械カタログ中の図版が有用である。使用法、使用目的などが判明するからである。それらの図版を各実験機器に対応して整理し、図版集として成果報告書にまとめた。
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